☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-


「今日の予定はあるのか?」

「いや?」

フェニックスはにっこりしてそう言った。

「できれば今すぐにでもここを出たいなと思ってるよ。」

「…悪い。今日はまだここにいて欲しいんだ。」

意外にもそう言ったセレン。

というのもセレンが自分の都合を主張及び知らせるのすらめったにしないセレンが、希望を口に出したからだ。

「映画でも行ってきたら良いだろう。」

「セレンが一緒に行けるんならね。」

キースはそう言って肩をすくめた。

「セレンいつも留守番でしょ?今回は船は預けてあるしね。」

たまには、とキースは言った。

「…わかった。」

これまた意外や意外。

「珍しいな、熱でもあんの?セレン。」

「…」

ウィングの問いかけにセレンは無言で答えた。

「ほっとけよウィング。セレンがせっかく一緒に行くって言ってくれてんのに。やっと遊べるだろ。」

「でも映画は無理だぞ、ピクニックくらいしか。」

移動にも時間かかるし、とセレンは言い訳がましく言ったが、心なしか声が弾んでいる。

フェニックスが否定しなかったのが余程嬉しかったらしい。

「じゃあいいや、ピクニック行こ!」

「でも」

「はいはいオッケー。ねえそこの犬。いいとこないの?」

「い…!」

ヴィセーブはショックを受けたようだった。