「ねえホセ、薬とかあるの?私塗るよ?」
「大丈夫だ。壁に塗って体を捩ったら塗れるから。」
「私塗る。」
たった今取り出したらしい塗り薬を壁に塗ろうとしていたホセを止めて、クラウンは立ち上がった。
「あっ…」
「目眩だろ、急に立ち上がろうとするからだ。」
よたよたしたクラウンを支えて、ホセはそう言った。
「一人で塗れるって。」
「それは譲れない!」
「でも汚いから…」
「壁じゃ不衛生だもん!」
「…分かったって。」
ホセは観念して薬のビンをこちらに渡した。
「…痛い?」
「気持ちいい。」
本当に気持ちよさそうに目を閉じて、ホセはそう言った。
「ああ…最高…こんなに気持ちいいならもっと早くこのくらいの怪我負っておけば良かった…」
「駄目!!」
「いいだろ。ああ…最高…人に何か塗られるってこんなに気持ちいいんだ…」
「無傷でもオイルくらい塗るよ…」
クラウンは溜息と共にそう言った。
「どしてこんな怪我したの?」
「んー内緒♪」
「誤魔化そうとしても駄目。」
てへっと可愛いく言ってみたが、クラウンは騙されなかった。
「怒るよ。」
「…」
ホセは黙ってやっぱり誤魔化そうとしたが、クラウンは許さなかった。
「…自分でやった。」
「ホセ。」
「いいだろ、当然だ。今回の事は、俺が100%悪い。」
「開き直ったでしょ。」
「…」
一応悪かったと思っているのだとクラウンは自分を納得させる。
「ホセ。」
「ん…痛、何するんだ…」
「ホセぇ…成長したねぇ…」
「は、ふざけるなお前…」
スリスリ攻撃を仕掛けると、ホセは身をよじって痛がった。
「ホセ、覚えてる?会ったばっかの頃?私ホセのことオリオンって呼んでたよね。」
「…覚えてる。お前はゼウスだったな。」
「成長したなぁ…」
「…感動されても困る。」
ホセは呆れたようにそう言った。


