「ぐはっ!!」
内臓が蹂躙される感覚に、キングは膝をついた。
溢れた血が喉を逆走し吐き出した血溜まりに目の前が真っ赤になる。
「ああああああ…!!」
背後でクラウンは荒い息をしている。
辛い、これが殺されるっていう感覚なのだろうか?
死ぬって、こんなに辛いのだろうか?
散々殺してきた人々の悲鳴がこだまする。
生まれて初めて殺した少女の悲鳴も。
自分が、真っさらな人間であることをやめた瞬間の悲鳴。
痛くて堪らない。
もう、早く楽になりたいのに体は言うことを聞かず心臓は夢中でもがき続ける。
「クラウン…!」
幸か不幸か即死は免れた。
最後の力を入れて、クラウンに覆いかぶさる。
「や、やだっ、キング、キング退いてお願い!!」
「ごめん…」
「キング、キング死なないで!!」
動けない。
もう、限界だ…
「ごめん…クラウン…」
なあホセ、お前はどうしてそんなに強いの?
望まれなかった生、愛されなかった毎日は一緒だったはずなのに。
なぜお前は守りたいものを守れるの?
何故お前はそんなに強いの?
「ごめんな、頼りない兄貴で。」
「やだっ、キング…!!頼りなくないよ、私キング大好きなの、お願い死んじゃやだ…」
「はぁ…お前の兄貴がホセだったらな。」
そしたら、お前を守ってやれたのに。
「キングがいいの…キングじゃなきゃダメ…」
「ありがと、クラウン。」
忌むべき死神の姿でも、何故だか自然に笑えた。
「こんな俺のこと、好きでいてくれて…」
「喋っちゃ駄目、キング!!」
「クラウン、俺のことなんか忘れて、早く」
やばい、声が。
「…キング?」
伝えようとした言葉は途切れて消えてしまった。
待って、あと一秒でいいから欲しいんだ。
幸せになれよって、言わなきゃ…
あと一秒でいいから。
俺に時間を下さい…
あと一秒でいいから、たった一秒でいいから…
最後の祈りは天には通じず、キングは涙を流して目を閉じた。
死に侵された呪われた体は朽ち。
地に溶け消えた。


