「…こ、ろしたってどういうこと…」

「…勝手に調べろ、お前の名はジュエル=アクアマリン。ジュエル家の悲劇とか悪魔とか調べてみろよ。」

「嫌、私はいいの、だからお兄ちゃんのことを教えて…」

「好きなだけ出てくるだろ。捜せよ、でも言っておく。」

お前には理想のお兄様はいない。


びっくりするほど冷たい瞳。


なあホセ、心を失ったのはお前の方だろ?

吸血鬼の方が、お前は人間らしかった。


「…追うなよ。クラウンを助けに行くだけなんだから。」

ゆらり消えたホセに、ウィングは語りかけた。


お前は何も知らない。

アクアが欲したのは騎士でも王子様でもない。


「お兄ちゃん、どうして…」


ただの、お兄ちゃんで十分だったのに。


「う、わぁぁぁ…!!」

しゃくりあげるアクアを、ウィングは優しく抱きしめた。