「…」
勝った。
ホセは冷静にそう思った。
暴れる内部を慣れた手つきで沈める。
首に違和感を感じ、それを手に取り引きちぎる。
「…ああ。」
小癪な。
首が切れたが、気にすることなくホセは部屋を見て金の十字架を取り出した。
「馬鹿だな。」
掛けられていた鏡が目に入り、ホセは思わず目をそらす。
「…醜い。」
拳で叩き割った鏡の破片は、容赦なくホセの体に突き刺さる。
激しい音に、寝ていたアクアが起きる。
それでも気にすることなく軽く払っただけで、ホセはコートを羽織った。
「…お前の居場所は此処だ。…クズ」
壊してやる、お前の創り上げてきたこの世界。
「ついて来い。魔界から出してやる。」
「え、でもお兄ちゃ」
「俺はお前の兄じゃない。あの吸血鬼もお前の兄じゃない。」
無情に。
無表情に。
無感動に。
「大丈夫だったか。酷い事されてないか。」
「されて、ません…」
「お前は。」
足早に歩きながらホセは言った。
「平気だけど」
「ああそうか。急いで抜けるぞ、吸血鬼の巣窟なんかには一秒たりともいたくない。」
「でもお兄ちゃんの仲間だったんじゃ。」
「仲間。」
ホセは繰り返した。
「あのクズどもが仲間。馬鹿馬鹿しいな…まあ、悪の巣窟って奴か。」
「そんなことないですよ、お兄ちゃんはとっても優し」
「なあアクア。」
足を止め、ホセは振り返った。
「言ったはずだ。俺はお前の兄じゃない。あいつもお前の兄じゃない。」
「…っ、おいホセそんな言い方!!」
歩き出したホセは、丁度出入り口に着いた。
「アクア、お前に家族はいない。」
無感動に無表情に無情に無慈悲に。
ホセはアクアの目を睨むように見つめてそう言った。
「俺が殺したから。」
悲しいくらいに無表情に、ホセはそう言った。


