「さあ夜だ!」
「…」
飛び起きたホセの金色の瞳がギランギラン輝いている。
『主様!』
さっそく飛び込んできたのは、推定3、4歳の男の子だった。
その男の子はえらくボロボロで、頭から血を流している。
『?』
『援護をお願いいたします!』
『そういえばクォーツ達は?俺は今寝起きだけど。』
『もう既にいます、それに何人か殺されたんです…主様…僕も何とか抜け出して来ました、すぐに戻らないと。』
『数は?』
『鬼族だけじゃないんです、奴らの奴隷に他の華族、傭兵まで混ざって』
『じゃあこいつらも連れて行くか?』
ぐ、ホセは背後にいるアクアとウィングを指差した。
「お前ら、戦闘能力は?」
「え?あるっちゃあるけど…いや何で?」
「一応あるなら問題ないな。お前ら戦えよ。多分これが最後の特攻だろうからさ。生き残ったら幹部にしてやるよ。死んだら墓掘ってやる。」
「嫌だよ!!何で俺たちがっ!」
「私は良いですよ。お兄ちゃんの役に立つなら構いません。」
「おいアクア!」
首を傾げて頷いたアクアを、ウィングは止める。
「こいつのことだお前死ぬぞ!」
「別に死んだって構いませんよ?お兄ちゃんの役に立つなら。」
「良い度胸だな水色髪。さて俺に妹はいなかったと思うが。」
「良いんです。お兄ちゃんはお兄ちゃんだもん。」
「そうか?」
ホセはそう言って、踵を返した。
『案内しろ。』
はい、と頷いて走り出す男の子にホセは続いた。
「ついて来い。」
アクアは従順に従い、ウィングに手を振る。
「それでは、生きてたら会いましょう。」
「おい死ぬなよ。俺が赤髪に殺される。」
ホセは振り返ってそう言った。
「えへへ、ちゃんと止めますよ。」
「約束だ、破るなよ。」
「分かってます。」
きゅるきゅる笑うアクアに、並んでホセは笑う。
「…」
兄妹だな、ウィングはそう思った。
表はまともに関わろうとしないから、裏は絡みに絡む。
でもこれがきっと、本来のあるべき姿なんだと思う。
これがこの兄妹の異常で普通な関係。
「…馬鹿馬鹿しい。」
俺は、幼い弟の為に命を投げ出すなんてできない。
実際、できなかったし。


