その夜は、やたら大きいヴィセーブ達の家に泊めてもらった。
ベッドは近くの家具屋で買ってきたものだが、10万強をポンと出す。
びっくりだ。
寝る部屋には一悶着と三乱闘があったが、最終的にはヴィセーブがセレンと同じ部屋になった。
ミューズとしてはいつものことで微笑ましいが、フェニックスにとっては死活問題だ。
便乗しようとしたアクアに盗聴器をもたせてスパイとして送り込んだ。
『セレにぃ!一緒に寝たいですよ!』
『アクア、お前は女の子だろう。俺はともかくヴィスと一緒に寝せたくない。』
「ぐわぁぁぁぁ!!!」
「うっせぇ黙れ!」
とフェニックスは左手側から飛んできた枕をヒョイと避ける。
「うるさいのはお前だろ!音漏れてるんだよこのアホ!!」
「いってぇ!!何すんだ変態!!」
「それが年上に対する話し方かこのボケ!!」
「変態は勘定に入れねーよ!」
「んだと上等だぁ!!」
と左側で枕が飛び交った。
「痛い!ちょっと止めてよ二人とも!」
「うるせ大人の喧嘩に口出すな!!」
「ええ!?」
僕ら1つしか違わないよとキースが抗議する。
「ああああああ!!!うるせーてめぇら命令だちょっと黙ってろ!!」
「原因はお前だ!!」
3方向から枕が飛んできた。
「隣は賑やかだな。」
「…zzZ」
「Zzz…」
その頃家に帰ったからといって寝ようとはしないセレンは、半獣と美少女の寝顔を無表情に見つめていたのだった。


