『あの…』
ククク、と笑いながら話を聞く事15分。
『ウォンに会いたいんだが。』
『はい!!ご案内致します!!!』
数人の吸血鬼が同時に立ち上がる。
ホセはクツクツ笑って女の吸血鬼を指差すと呼び寄せた。
『お前だ。連れて行け。…その二人も俺の部屋に。大切な友達だ、手を出したら俺の手を噛んだとみなす…お前が連れて行け。』
命じられた少年は頷いて深々と頭を垂れた。
『こちらでございます…主様。』
『ああ…』
ホセは、その吸血鬼についていった。
「ウォンか?」
まだ回復が間に合っていないのか、ウォンの両目には包帯が巻かれている。
ガタンと起き上がろうとして両手両足の拘束を揺らす。
「お前は誰だ?!クソ、ここから出せよ!拘束を解け!!」
『お前っ!?無礼なっ!』
嚙みつきかけたのを止めて、ホセはウォンの包帯に触れた。
「天使の唄(エンジェル-ソングス)」
「っ!?」
オルゴールのような優しい音色が響き渡る。
指を滑らせ患部に触れると、その部分は癒えていく。
全ての患部を癒すと、ウォンの目の包帯を取ってやった。
「クォーツを知っているだろう?」
「!」
綺麗に癒えた傷の跡をそっとなぞりながらホセは言った。
「お前…!吸血鬼か!?」
「ああ。」
「っ…目的はなんだ!」
「俺に降れ。お前は賢い男だときいている…期待しよう。」
「ふざけるな!!」
ウォンは拘束を引きちぎって起き上がる。
『よせ…』
側にいた吸血鬼は臨戦態勢に入ったが、ホセは低く唸るようにして言った。
「っ!」
「ここで騒ぎを起こせばお前は死ぬぞ。クォーツの代償を無駄にしたくはない…」
「代償…!」
「さぁ、別に何も説明なしに降れとは言わない、クォーツに会わせてやる。」
「…」
行動を起こさないウォンに、ホセはクツクツ笑った。
「会いたくないのか?」
「!」
ビク、起き上がったウォンにホセはさらに大きく笑う。
『キリに退院を伝えてこい。』
そして魔法の一言。
『頼んだぞ。』
こくん、顔を赤らめて頷いた。
『はっ!!了解いたしました主様!』
足の甲にキスを落とし、霧になって彼女は消える。
「行こうか、ウォン。」
ホセはにっこり笑ってそう言った。


