連れて来られたのは、食堂だったらしきところだった。
「ほら、食べてろ…といってもそんなにないか…缶詰めくらいあるだろう。ほらそのあたりに。」
指差してホセはそこから魔法で幾つか缶を取り出した。
「…ああ、大丈夫らしい。冷蔵庫も見てみるか。」
ガサゴソ探してから、ホセは幾つか食材を取り出した。
「料理は得意じゃないから作れ。」
はい、と渡して、ホセは食堂の椅子に座った。
「食ったら起こせ。」
「え…?」
くー、と次の瞬間にはもう寝ている。
気持ちよさそうな寝顔に、ウィングとアクアはふふと笑った。
「…なあ、こいつ死んでね?」
「まさか。ほらくーって言ってる。」
「…本当か?」
よほど疲れていたのか、ホセは眠り続けていた。
___よお、久しぶりだな。
誰だ、お前は。
___忘れたのかよ?酷い奴。
誰だよ?
___俺だよ、俺だ。
知らないよ…
___じゃあ、思い出させてやる。
嫌だ、やめてくれ思い出したくない。
___お前は誰だ?
俺は!!!!
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」
「!」
ハッと目覚めて、ホセはとっさにあたりを見渡した。
アクアとウィング、それから同志の吸血鬼。
心配そうに、覗き込んでくる。
「…ああ、悪い…夢見が悪いだけだ…」
「凄いうなされてたぜ。本当に平気かよ?」
『汗びっしょりです。』
口々に心配事を伝えてくる周りに、ホセは頬を緩めた。
そうだ、俺は必要とされてる。
「大丈夫だ。悪い夢を見ただけだから心配するな。」
負けない、俺はあいつより優れてる。
スペックで劣っても、絶対に俺は優れてる。
俺は正しい。
正しいんだ…!
『そういえばあいつは?クォーツは何処だ。』
悔しい、狡い、羨ましい。
主様に名前を呼んで貰えるなんて。
その場にいた吸血鬼は嫉妬し、渇望し羨望する。
吸血鬼は髪色と瞳の色は同じだし、種族の特徴上美しい。
でもそんな吸血鬼の中でも、ホセは強く美しい。
プライドの高い吸血鬼も、降れと言われて逆らえない。
強すぎて、美しすぎて、逆らう気さえ起こせない。
『さあ、用があるんだろう?』
微笑んで、強かにホセはそう言った。


