独りで。
独りでホセは屋敷に突っ込んだ。
大抵捕まっている同志の救出は、ホセ直接は行わないことが多い。
だが、代償を払って貰ったからには。
「パーフェクトな喜劇を演じてやるよ。」
正面の窓を派手に叩き割る。
けたたましい喧騒の中危うさと共に向かって来た敵を全てなぎ倒して奥へ奥へと進んでいく。
クォーツ、お前の痛みはちゃんと感じた。
普通、吸血鬼は仲間に対して吸血はしない。
美味でもなければ栄養価も高くない為で、またそれには吸血される側が激痛を味わうことになるからだ。
ただ、ホセは何故か吸血鬼の、特に貴重種の血が好きだった。
失態を犯したら、その償いとしてホセが吸血する。
その痛みは、正に地獄のよう。
だがその見返りとして、ホセは大抵の場合は願いを叶えてくれる。
だが、裏切りの罰の吸血は。
はっきり言って、吸血鬼ですら目を背けるほど悲惨で残酷で冷酷だ。
一応代償の吸血は手加減してやるのだが、罰の吸血はしない。
よほどの精神力でも、あまりの痛みに狂い死ぬ。
正気を保てるような痛みではない。
舞え、躍り狂え。
美しく、どこまでも美しく。
狂喜の、狂気の舞。
競演の、饗宴の、狂宴の舞。
絶望の、美しき絶望の舞。
踊り狂え。
ダンスパーティの終わる頃には、此処に生者は一人だけ。
死のワルツで最後まで踊るのは、一人だけ。


