「実は、また同志が囚われている屋敷を見つけました。」
「解放しろって言ってみたか?」
「でも知らぬ存ぜぬと…」
「成る程?」
ホセは微笑んで、手の甲を差し出した。
「でも俺が助けなくても良いだろう?お前は強い…ククク…」
「お願いです、主様…お願い…」
「じゃあ、代金貰おうかな?」
「!」
ビク、と一瞬クォーツが怯む。
「良いだろ?お前の親友を助けてやるんだ…ついでに最近おろそかになってた職務も不問にしてやるぞ?」
「な、んでそれを…?」
「俺に隠し事なんてできるわけないだろう?ふふ…クォーツ。お前は賢い男だ。」
期待している。
ホセは舌舐めずりと共に立ち上がった。
「立て?」
「…っ。」
「ほら…クォーツ。」
意を決したように立ち上がったクォーツは、ギュッと目を閉じその時を待った。
ククク、ホセは笑って金色の瞳を輝かせた。
「うぐぅっ!」
ガブリ、とホセは首筋にその犬歯を食い込ませ。
痛みに、クォーツは悲鳴を上げて倒れかかる。
それを許さずホセはわざと音を立てて血を啜った。
クォーツの抵抗を物ともせず、ホセは最後にペロリとひと舐めしてがくりと膝を折ったクォーツを抱きとめる。
「代償は確かに受け取った。」
さっきまで座っていたソファにクォーツを寝かせると、ホセはそう言ってまたコートを取った。
『キリ!』
『は。』
『手当て。』
『了解いたしました。』
「じゃあ、また出かけてくるから。」
また霧のように、ホセは消えた。


