「なんだったんだ…?ずっと無言で…」
「え!?無言!?いやいや喋ってたじゃないですか?何をおっしゃいますウィングさんあなたとうとう耳までいかれてしまわれましたか!?」
「待ってくれここで罵倒される覚えはねーんだよ聞こえなかったんだからしゃーないだろ!!」
ガミガミ言い合っていると、フッと冷静になる瞬間が訪れる。
その瞬間、アクアはゆっくり呟いた。
「…ねえ、本当に聞こえなかったんですか?」
「うん。」
「…」
「…」
二人同時に、溜息を吐いた。
「いいや、あいつが説明してくれるだろ。」
ウィングは考えることを放棄した。
「帰った。」
ふら、と突然現れたホセは幸せそうににっこりした。
その笑顔は恐ろしく綺麗で、危うく魅せられそうになる。
「待たせたな。」
「あの、お兄ちゃん…」
「ん?」
「何か、その…えっと…さっきの…」
あまりに綺麗すぎるホセにジッと見つめられ、上手く説明できない。
クク、とホセは笑ってアクアから目をそらしコートを脱ぎ去る。
「さっきの会話か?」
「あ、えと…はい。」
「詳しいメカニズムを聞きたいなら教えるが、まあ簡単に言ってテレパシーだな。」
「テレパシー…?」
「相手の名前と顔さえ分かれば世界中何処にいても使える。貴重種以外はそれしかコミュニケーションツールがねーからな。」
カタカタ言わせながら紅茶を準備して、それを出しながらホセはいった。
「どうぞ。…つってもあいつのに比べたら泥水だけどな。」
少し歪んだカップに、少し跳ねた紅茶。
少し薄すぎる気もするけど、いつもの完璧なホセが作った紅茶より美味しいのは何故だろう?
「美味しいです。ありがとうございます。」
「ありがと。嬉しいな、ふふ。」
何故か、綺麗だ。
完璧なんかじゃないのに。
「そうだ、なんの用だったんだ?刺客だと思って俺の下僕が捕らえたと言って連れて来たんだが。」
「下僕?」
「そうだが?ほらまた来た。」
数秒後、部屋のドアが開いた。
『恐れながら報告させていただきます。我が主様!』
黒髪の金目。
片腕に酷い傷があり、眼鏡をかけている。
「珍しいなクォーツ…悪いが能力は使わないでほしい。」
「…?ああ、はいっ…その二人は?」
「友達。」
あっさりそう言って、ホセは身を乗り出した。
「さて、聴こうか?」
クク、ホセは悪魔的に笑った。


