☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-




「じゃあ一つ聞いてもいいか?」

「ああ?」

ウィングの問いかけに笑顔で応える。

「お前の弱点って何?」

「弱点?」

「怖いもの、苦手なもの、大切なものだよ。」

「ウィング…!」

「黙ってろ!…質問に答えろ!」

さもおかしそうにホセは微笑んで言った。

「俺だな、俺が最も恐れる。俺の唯一の天敵。」

え、とアクアが言った。

「あいつは俺とは違う。まるっきり他人だ。同じ肉体を共有してるが?」

俯きながら微笑んで、ホセは笑った。

「まともに戦えないから。体痛めつけられるしネックレスで抑え込まれるし」

「抑え込まれる?」

「そうだよ、水色髪。今は逆に俺があいつを抑えてるが。」

チラリ、笑って見せたペンダントは逆十字の黒い紋章。

赤髪のホセがシンプルな金の十字架を、鎖に通し首にかけていたことを思い出す。

「悪魔にも天使にも神にも、完全態、半魔態、人間態があることは知っているだろう?俺は完全態、あいつは人間態だ。」

普通吸血鬼は完全態にしかなれないんだけどな。

「でも、完全にじゃないだろ。完璧に人間態になったら魔法すら使えなくなるし。」

「あいつのかけてた鎖は、一つ一つの輪が俺の能力を封じてる。飛行能力や暗視能力、回復能力…吸血の能力は… まあ、当然。」

酷いよなぁ、とホセは溜息をついた。

「好都合な能力は鎖を潰して開放してさ。好き勝手利用して虐げて」

悪魔はどっちだよ、と呟いたホセの手先は僅かに震えていた。

「あいつは…俺を生き物とすら見てない…俺を閉じ込めて、嗤いながら痛めつけて…平気な顔して…」

ポロ、と涙が溢れて、それをウィングは驚いた顔で見つめていた。

「確かに人は殺したけどさ、楽しんでなんかないのにな。あいつに追い詰められて追い詰められて…どうしようもなく飢えてただけなのにな。悪かったけど、人格まで全否定されなきゃいけねーの?生きてるだけで罪だとか…そこまで言われなきゃいけない事なの?」

シンプルな椅子にうずくまって、ホセは笑った。

「分かんない。あいつが普通なのか、異常なのかすら…俺って、クズなの?」

分かんない。

ホセは繰り返した。

「人を殺した奴はクズなの?そいつは何されても文句言えないの?死ぬほど辛い事されなきゃいけないの?」

吸血鬼ってだけで、何しても救われないの。

「別に、殺しが楽しいわけじゃないのに。」

笑ったホセは繰り返した。

分かんない。

「俺たちを殺そうとするのはそっちなのに。」

そっちの方がよっぽど悪魔だ。

「普通に食事が取れてたらほんの一口で一週間はギリギリ持つのに。しょっちゅう襲われなかったらもっと少なくて済むのに。」

いつ食べ物を口に入れられるかわからないから乱獲が絶えない。

「…まあ、いいよ」

ホセはそう言ってにっこりした。

「…慣れてるし?」

クスと笑ったホセがぎゅっと、ペンダントを掴んだのは。

気のせいなんかじゃないとウィングは思った。