☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-


「ヴィセーブ。」

膝枕されてうっとりしているヴィセーブに、さりげなく強烈な蹴りを入れつつフェニックスが言った。

「く…じゃねーやヴィセーブ、お前セレンに寄るな。」

「あ?」

狼がキレた。

「こらこらヴィス、そんな怖い顔をするな。」

せっかくのふわふわ尻尾が台無しだ。

「あほそれも違うわ。」

殴られた。


「先輩をいじめるな!!」

「よしよし仲良くしろヴィス。」

半泣きのヴィスはここぞとばかりにセレンにしがみついた。

「ふぇぇぇん!」

「ぶっ殺す。」

「賑やかだなあ…」

「ミューズさん今日までよく生きてこれたね。」

「2月14日に食料の寄付を受け付けるんだ。」

「集まりそうだな。」

無駄にイケメンなシェアハウス3人組のバレンタインは想像するに余りある。

想像して、それが恐らく想像の限界というやつにぶち当たるだろう。

1年分の食料を1日で集めるのだから。

「金はその辺で詐欺してりゃいいし。」

「犯罪だぞ。おい自首してこい。」

「結婚詐欺だぞ?」

「だぞじゃねーよ。犯罪には変わりねーよ。」

「給料みたいなもんだろ?」

「…」

この家をでたらすぐにこいつ警察に突き出そう。

そう心に決めたウィングだった。


まあこの星を出る頃には、一人の結婚詐欺師を見逃さざるを得ない。

そんな余裕はなかったのだから。