「…うっ…?」
ウィングは、アクアとほぼ同時に目を覚ます。
部屋の中心にあるソファに座らされているらしい、目の前にテーブルを挟んで誰か座っている。
「やあ」
と黒髪の少年は朗らかに言った。
ついこの間の殺戮を、殺人を忘れたかのようににっこり微笑んで。
「久しぶりだな。」
「お兄ちゃん…?」
「そうだよ。アクアちゃんだろ?知ってるよ…俺の義理の妹だ。あいつが大事にしてたかな。」
「まるで他人事だな。」
「殆どな。」
黒髪のホセはそう言った。
「あいつと区別をつけたいなら黒髪とでも呼んでくれ。」
「あそこにいるんじゃないのかよ?」
知ってはいたが、ウィングは聞いた。
「気に入らないんだ。俺を操作しようとするから。」
危険な金の瞳、闇に蕩ける漆黒の髪。
「みんな殺してきた。不味かったけど。」
赤髪の方なら罪悪感で死にそうだが、こちらは気にもかけないらしい。
「当たり前だろう?俺にとって人は人にとっての家畜同然だ。」
「…キースのこともかよ?」
「キース?」
ホセはにっこりしながら聞き返す。
「俺が殺した奴か?銀髪?」
「…覚えてないのかよ…っ…お前が殺したお前の仲間だった奴だよ!」
「ふぅん。ということはあいつの仲間か?」
「あいつの?」
「赤髪だよ。俺だ。」
興味なさげにそう言って、ホセは紅いワインを傾ける。
「どうだ?」
反応が無いのを見てとって、残念そうに微笑む。
「コミュニケーションを取らないか?せっかく来てくれたんだからなんでも答えるぜ。」
尖った歯を惜しげも無く晒しつつ、ホセは言った。


