「案内する。ついでに口聞いてやるよ。」
ミューズは立ち上がって、にこと笑った。
「期待はしないほうがいいぜ。今のロスは狂ってるから。」
「乱心?」
「まあ…分類的には。でもどっちかというと」
「裏人格が出てきたよう、ですよね?」
「ああそうそんな感じ!!よく分かったなアクアちゃん。」
ミューズは扉を開けてそう言った。
「じゃあヴィス、留守頼むな。」
「…はい、いってらっしゃい。」
ゆるゆる手を振りながらヴィスは3人を見送った。
「裏人格ってどういうことだよ?」
「おかしいのはおかしいんだけどな、狂ったって感じじゃなくて。ただ性格が変わったって感じだ。」
「性格が?」
繁華街を通り、喧騒の中をすり抜ける。
「ああ…ほら、彼処だ。」
ゆらり、差された指の先には大きな塔。
「あの中に魔法陣がある。そこから魔界に行けるよ。」
「ところでミューズ、仕事は?」
足早に歩きながら、ウィングは聞いた。
「臨時休業。俺は免除されてるけど今吸血鬼軍の討伐に入ってるから。」
「討伐!?」
「まあしゃーないわな。捕らえられた吸血鬼の救出と同時にその一族根絶やしにしてるもんだから。もう一体どんだけ鬼族が死んだか。」
「鬼族が!?はぁ!?いやいや鬼族って吸血鬼にだって匹敵するんだろ?」
「単独じゃない吸血鬼に誰が敵うかよ。数で押し切ろうとしてるけど、一人二人捕まえてもかえって逆効果。」
ミューズはさらにスピードを上げた。
アクアはもう殆ど走っている。
「さて、もう直ぐだ。」
そのおかげか、それから塔に着くのに、五分もかかりはしなかった。


