「っうぅ!!」
ガチャ、拘束が外れた瞬間、キングは全力で走った。
「ここは隣の部屋だお!」
そういうふざけた声を頼りに。
「クラウン!!」
「き、んぐ…も、やだ逃げたくない…っ…一人はやだ…やだぁっ…もう死にたい、一生こうなんだよ、もう嫌…」
「大丈夫だから、ここにいたら絶対殺される。俺が守るから、お前を守ってみせるから!」
「…いやぁっ、離して!!」
綺麗な金髪を抱きしめるように、抱き上げる。
幾度目かの逃亡は、なんら変わったことはなかった。
追ってくる、かつて仲間だった敵。
「待って、待って下さい!!」
表情なんて確認している暇はない。
直進、突き当たって左、3本目を右。
道なりに曲がって直進。
固定式魔法陣に飛び込み3階に降りる。
降りたらすぐに左に曲がり一本目を右。
突き当たって左から二番目の扉を跳ね開けそばにあった瓶を開ける。
現れた小舟に乗り込む。
あの船はプレゼントだ。
私物も思い出もたくさんあったが、取りに戻るのは愚かというものだろう。
「クラウン、大丈夫か?」
「うっ、ふぇぇええん…!!」
ずっと、ずっとクラウンは孤独なままなんだろうか。
今はまだいい。
でももし自分が死んだら…?
「クラウン。」
こうやって、クラウンに胸を貸す誰かが必要だ。
その誰かは今絶賛逃亡中。
「クッソ。」
世知辛れーな、ったく。
そんなにこいつを不幸にしたいかよ?


