「こら無闇に動くな、水が飛ぶだろう。」
「キャッキャ!!」
擬態語ではない。
マジだ。
「ぶっ殺す。」
「やめてやれ。」
美少年が半裸の半獣少年の髪を拭くというありそうでないシュチュエーションだ。
側から見れば微笑ましいが、ルーズで見ると恐ろしい。
すごい殺気だ。
「すぐに止めは刺さない…まずは足の先からミンチに…」
「止めろ。キャラぶっ壊れてるぞ。ヤンデレだぞ。」
こちらもキングだ。
「キャラ…?ナニソレ?」
「駄目駄目駄目!目、目イカれてる!大事なとこがイっちゃってる!!」
大事なネジを戻そうとボカスカ殴っていると、すっかりリラックスモードのセレンがキングに声をかけた。
「可愛いだろ?」
「わりぃそんな余裕ない。お前の所為でぶっ壊れた船長戻そうとしてんだよ。」
「フェニックスにもこの可愛さが分かるのか。嬉しい。」
「お前はお前で壊れてんなおい。」
尻尾を振っているヴィセーブは確かに人とは言い難かったが、完全に陥落したとも言えない。
セレンの動物好きは今に始まった事ではないが、ちょっと獣人はまずかった。
「欲を言うなら羊が良かった。」
「…お前、犬派?」
「いや猫派。」
ヴィセーブは実は可哀想なやつだった。


