うるせえな放っておいて。

ずっと霊安室に閉じこもっているウィングに、もう何度目か分からない返事をもらう。

テープでも流してるんじゃないだろうか?

「テープってなんですか?」

「お、幼女ちゃんじゃん。」

「悪意しか感じませんねキング。」

アクアはにっこり笑ってそう言った。

「悪魔の化身という言葉がこれほど当てはまる方にはお会いした事ございません、さすがの私でも。ええキングさん申し訳ありません言葉のあやでした過去の私をどうか笑ってくださいませ、しかし今の私は違うのです。私は今現在その悪魔の化身とお会いして非常に喜ばしい限りでございますわ、はい。」

「そんなに喋るとドラマ化に支障が出るぞ〜」

「申し訳ありませんが私は別にドラマに出たいとは露ほども思っておりませんわこの根暗オタク。いえ褒めすぎでした申し訳ありません、病み系サディストでしたねしかも腹黒クソカウンセラーとお聞きしておりますが、事実のほどは如何ですか?」

「荒れてんなー。」

怒涛の勢いで繰り広げられる罵詈雑言の嵐。

まともに取り合っていては心がもたないので、適当に流す。

「大丈夫、幼女ちゃん。」

「偽善者をとり繕いつつしかし悪口は言い忘れないその不屈の精神は認めて差し上げましょうええキング。畏敬致しますわそしてその尊敬の意を込めてその不屈の精神へし折って差し上げます。」

「…」

「そしてそのへし折るついでに人としての尊厳も一気に踏み潰してやりましょう。」

「…お前に1つ言いたいんだけどさ。」

Sはお前だ。

俺は人としての尊厳は守る(最低限)。


アクアと話をするとどうしようもなく傷つくので(ウィングは嬉しいらしいけど)キングは癒しを求めて彷徨った。

というか、あの罵詈雑言一体どこまで出てくるのだろうか?

あの幼女には語彙の限界というものがないのだろうか?

今度は、人間語での罵倒を推薦してみよう。

「キング。」

「ん?」

「お兄ちゃん何処ですか?」

おお、キングは感動した。

「台詞が短い…!!」

「?」

フェニックスも言っていたが、こうやって黙して泣いていれば良いのに。

泣いてないけど。

「お兄ちゃんどっか行ったな。」

「…」

垂れた、耳が垂れたぜひゃっほう!

「なあアクア。」

「なんですか?」

「実はお前の猫耳パーカーにリードを付けたんだ。」

「キングさん、実は私もあなたの白衣に首輪を付けたんです。」

嘘か誠か、二人の言い合いが終わった頃には、とうに0:00を回っていた。