「…」
全身からひしひしと伝わってくる怒りに、ベッドの上でホセは後ずさった。
既に手当は終わり、身体中がまた包帯だらけだ。
診断結果によれば肋骨5本が逝っていて、さらに二本がヒビ入りだ。
内臓も結構傷ついていて、見るに堪えない。
両手両足は複雑骨折。
「…あーあ。」
「どうしたの。」
怖いくらいに笑ったフェニックスは明らかに怒っている。
泣きそうになりながらホセはどもって答えた。
「こ、ここ、転んだんだ!!」
「へぇ!何処で?」
「う、うっヒック…」
泣き虫嘘下手。
なんなんだ、キングは腹が立った。
「か、階段…」
泣いてしまった。
「泣かせんなよな、すっげーないてるじゃん。」
「記憶失ってる奴に?」
フェニックスは気がついている、もうホセが記憶を、あまりのショックに自己防衛によって失われた記憶を。
取り戻してしまったことに。
「…うう…」
ボタボタ流れる涙に、僅かに血が混じる。
「俺は、誰に殺されるの?」
「…ん?」
「俺は、誰に殺されるの?」
「死にたい?」
「別に。」
ボタボタ、壊れたように涙を流してそういうホセの瞳は、まるで湖に沈んだ宝石のようだった。
「別に!」
「じゃあ誰がいいの、お前は。」
「…キングとお前以外。」
「苦しみたくないって?」
少し、安心したような声。
でも、ホセは首を振った。
「苦しみたいから。」
と。


