☆Friend&ship☆-償いの吸血鬼と罪深き種族の運命-


「…あーあ。」

特有の死の冷気がキングを包んで離さない。

走ったが、間に合いはしないだろう。

ほら証拠に、前方から聞こえてきた鈍い音。

ヒトが殴られるオト。


「…ウィング!」

クラ、とこちらを見たホセの顔を見て分かった。

暗い、暗い闇の底に沈んだような瞳。

何もない空洞の中に、隠しきれない後悔と憤怒、懺悔、絶望、恐怖。

喪失。

「…」

こぽ、とホセの口の端から血が流れた。

純真な輝きを喪った、暗い闇の瞳。

光を全て吸収したかのような真っ暗な表情で、ホセはこちらを見上げる。

「…」

ホセが口を開いた。

「…殴らねーの?」

浅い嗤い、深くに蠢く恐怖。

「…」

胸ぐらを掴むと、笑みを深くして恐怖を覗かせる。

なんだかんだ言って怖いのだろう。

そこへ現れたウィングが背後から思いっきり脇腹を抉った。

「…っ」

顔を歪めて俯いたホセは、荒い息で両手を握っていた。

余程効いたと見える。

ギュッと目を閉じ、涙が流れた。

それをさとられまいと気丈に振る舞って倒れ伏す。

守りも逃げもしないホセに、ウィングはただ憎しみをぶつけ続ける。

一方的過ぎる暴力の嵐に、ホセは俯いたままただ耐える。

ドス、ドスという音が次第に水気を帯びてきて、ビチャビチャと耳障りに血が跳ねる。

「ウィング、もうよせ。」

無言の時間をキングが破り、ウィングの肩を掴んだ。

「それ以上したらホセが死ぬ。」

「…から…んだよ…!」

キッと、ウィングはキングを睨んだ。

「だからなんだよ!!こいつが死んで何が悪い!こいつはキースを殺した、もうそれだけで死ぬ理由には十分過ぎる!!」

「アクアやフェニックスのことも考えろ!!こいつは色んな奴に必要とされてる、愛されてるだか」

「ふざけんな!!愛されてりゃ誰かの大事な人奪って良いのかよ、俺は泣き寝入りかよ!!」

「ホセもあの時は正気じゃ」

「正気じゃないからなんだ?狂ってりゃ人殺して良いのか!?」

「ウィング、頼むから…ホセだって自分のこと死ぬほど責めてるんだよ、頼むからホセを攻撃するな…」

「それはどうやって証明できるんだよ!!」

目を見ろよ、キングは泣き出したかった。

記憶を失ってた方が絶対幸せだった。

思い出した今、ホセはどうあっても自分を責めるに決まってる。

どうやっても…

「…別に、キースなんてどうでもいい。」

案の定、ホセはぶっきらぼうにそう言った。

「あいつに世話になった覚えもなければ、ただの足手まといだったし。単に襲うのが簡単だったし。」

弱いから。

「感謝して欲しいくらいだよ、俺からしてみれば。」

あの役立たず葬ってやったんだぜ?


ウィング、気づけ。

ホセがどれだけ苦しそうに顔を歪めてるか。

今にも崩れそうな位に泣きそうになってるか。

ウィング、気づけ。

あいつがどんな奴か思い出せ。

自分を異常な位に真っ先に責め立て。

自分の苦しむ道を必ず選ぶ。

ウィング、ホセがどんな奴か。

ずっと見てきたろ?

ウィング…


「…」

殺してやる、殺意に漲った瞳でウィングは囁いた。