私は空を見上げる。

雲ひとつない澄んだ空。

入学式にはピッタリな日だ。


「よし、今日から頑張ろー!!!」

と両手で顔をペシンと叩き駅に向かって歩き出す。

ガタンゴトン… こんな田舎には通勤ラッシュという言葉すらない。

虹の駅で降り、ホームを出る。

なんで?同じ制服の人が1人もいない。

不安に襲われた。

でもまぁ、とりあえずいかなきゃ。


あれ…?この道どっちだっけ…。どうしよ。

周りに誰もいないし…

戸惑っていたら足音が聞こえた。同じ制服の人だった。


『あ、どうも』

「ど、どうも… あ、あの、この道どっちかわかりますか?」

『あ、それならこっちですよ』

「ありがとうございます、すみません…」

『桜丘高校の方ですよね…?

  今年入学される方ですか?』

「あ、はい…」

『同級生だね、よろしく』

「よ、よろしくおねがいします」


10分ほど歩くと学校に着き、クラス表が貼り出されていた。

『あ、あった。』

「私もありました」

『ん?もしかして同じクラス?』

「みたいですね」

『あ、俺、藤谷奏斗!』

「私 山原千華です。」

『なんで敬語なの?笑』

「あ、ご、ごめんなさい。」


私はそもそも男の人が苦手。

いきなりタメで話してって言われても無理なものは無理。

恋なんて…したことない。


そんなことを考えていると

「あー!奏斗ー!って、もうお前女友達できたのか?」

とものすごい大きい声が聞こえた。


『ただ登校中に道に迷ってたから助けただけ。』

「ふーん。お?結構可愛いじゃん。俺、浅井翔太。よろしく!」

「あ、山原千華です。よろしくおねがいします。」

「よろしく!お前ら何組?俺3組。」

『うわまじかよ… 俺らも3組だし』


うわ……嘘でしょ…