「忘れられることばっかりじゃないよ。悩みが消えないなら、誰かに話すのが一番」 「大人じゃなきゃわかってくれないもん」 この人、そんなに悩んでるんだ? 俺は少しずつ飲みながら、無意識に、透き通るその声に耳を傾けた。 「じゃあ俺に話しなよ」 「…だって結婚してるハルさんに相談しても意味ないんだもん」 「じゃあさ、空太は?」 ハルさんが俺を指差してそう言う。