「あれ?寝た?」

「ううん…」


空ちゃんが耳元でしゃべるから、すごくくすぐったい。


「好きなんです、空太さんの声」


突然のそのセリフにドキッとする。


「ありがとう」

「ふふっ……私、初めて会ったときこの人の声好きだな~って思ってたんです」


あの日のことを思い出す。


あの日、俺は確かに初めて人の声をきれいだって思ったのを覚えている。


あの瞬間、同じことを考えていたのかと嬉しくなる。