「空太さん、なにか歌ってください」 俺の耳元で、空ちゃんがそう言う。 勢いよくお酒を飲み続けたのは良いけど、お酒は弱いみたいで、すぐに崩れた。 送る約束をしたけど、車もないしタクシーにのるお金もバーに行くとき分しか持ってなかった。 背中に空ちゃんを背負いながら静かな住宅街を歩く。 「歌わないよ」 「えー。じゃあ、なにか話してください」 「どうして?」 「…」 黙り混む空ちゃん。