「さよなら。おやすみなさい…」


そう言ってドアを閉めた空の声が、やっぱり涙声に聞こえたのは確かだろう。


泣きたいのは、正直こっちだ。


なんで振るほうが涙を流すんだろう。


それに…


初めて会った日から聞いていなかった“さよなら”の言葉が、より悲しくさせた。


「なんだよ、さよならって…」


振られてこんなに辛いのは、人生で初めてだった。


そして、その“さよなら”が本当になるなんて、俺は思ってもいなかったんだ…