「でも、好きでやってたのはピアノだけだったかな…」 まるで昔を振り替えるように遠い目をした空に、俺はなにも言わなかった。 「あ、そうだ」 「ん?」 必死に話題を変えようと思い付いたのは、卒業のお祝いの事だった。 「卒業したら、どこか行こうよ。空の好きなところでいいから」 「ほんと??…どこにしようかな~」 いつもの表情で考え始めた空に、内心ほっとする。 たまに見る、空の寂しいような目が俺は苦手だ。