君と恋の歌


「いい名前だね」


「そうですか?…空太さんと似てますね。一文字違い」


「うん、確かに。」


ここにも何度か来ているだろうに、なんで今まで会えなかったんだろう。


そう思いながら、きれいな“有栖川 空”の文字をじっと見つめた。


「いい雰囲気のところ悪いけど、空ちゃんはもう帰る時間だよ。」


ハルさんが時計を指差してそう言う。


時刻は23時30分。


家族も心配しているだろうし、確かにもういい時間だ。