遠い昔、この地球のどこかにローグテイルという大国があった。

王は賢く優秀で、それをそばで暖かく支える王妃もまた、優秀だった。

大きな戦争もなく、王国は常に平和で、国民は幸せだった。

そんな王国に、待望の赤子が出来た。


王も、王妃も、臣下も、国民も、皆喜んだ。

国は、その子が生まれるまでお祭り騒ぎを続けた。


そしてある夏の日、生まれた女の子は元気で、可愛くて、綺麗な黒髪を持っていた。




ただ、産声を聞いたものはいない。