体育祭当日。

私は綱引きだけだった為、
用具係を任されていた。

朝も早くから綱引きの紐を出したり、
リレー用のゼッケンや、コーンを
用具室から出していた。

でも亜希も早朝からリレーの練習をしていた。
亜希早いっという声が何回か聞こえたから今日凄く調子いいんだな〜なんて思ってた。

でも、本当にそんな時だった。

「キャアアアアアッッ!!!」
いきなり女子の悲鳴声がグラウンドに
響き渡り、一部に人だかりがあっという間にできた。
何があったのかと思い、私もその場に行く。

すると、
亜希が倒れていた。
走る練習中にいきなりふざけあってる男子に亜希が勢いよくぶつかり地面に頭を強く打っていた。

突然の事で私は頭が真っ白になった。
さっきまでずっと走っていた亜希が、
この一瞬で変わってしまった事に頭がついていけなかった。

「…き、亜希っ!!!」
すぐさま私は駆けつけた。
「亜希!?しっかり、亜希?!」
亜希に声をかけながら私は保健室まで運んだ。ベットの上に寝かせると、保健室の先生が保健室に入ってきた。
「ちょっといいかしら?」
私がスッと先生を避けると、先生はしばらく亜希の顔色を見ていた。
「…亜希さんは、ちょっと脳震盪を起こしてるかもしれないわね」
「そんな…」
あんなにずっと頑張っていたというのに、亜希の努力がこんなところで…。
その時、保健室のドアが開いて、亜希のクラスメイトの女子二人が入る。
「あの、亜希大丈夫ですか?やっぱり出るのは難しいですか?」
慌てるかのように聞いてくるクラスメイトに保健室の先生は落ち着かせるかのように言う。
「亜希さんは軽い脳震盪だから大丈夫だと思うけど、リレーはやめた方がいいわね」
しかし、それを聞くとクラスメイトは困った顔をした。
「そんな…亜希の変わりいないのに…」
クラスメイトが酷く辛い顔をしていたからか、それとも亜希の努力が目の前で朽ち果てるのを阻止しようとしたからなのか、気がつけば私は声を出していた。

「私が走りますっ!」