第1話 出逢い

''今は昔、竹取りの翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事につかひけり。名をば讃岐の造(みやつこ)となむ言ひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうていたり。"____『竹取物語』から引用

読んだ本を返そうと図書館に向かう途中、公園にある女性がいた。その女性は艶やかな黒髪で長い髪を風に揺らされながら木の下にいた。


女性はきれいな銀色の目は、月の光に照らされてとても輝いていた。


「__________」


彼女は、大きな桜の木に向かって何かを話していた。


そして、彼女はこう言った。

「今宵も美しう満月じゃ。」と。


20分以上僕が彼女に見とれていると、さすがに彼女がこっちを見た。


「!!!」

僕は目をそらしてしまった。


そして彼女が口を開いて独り言を言うかのように僕に聞こえるように話していた。


「昔々、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山に竹を取りに行くと、一筋の光る竹を見つけ、竹を割ってみると中から三寸ばかりの人がいたのです。おじいさんは家に竹を持って帰り、かぐや姫と名付け、おばあさんと一緒に育てました。」


彼女はそう言うと、僕の方を向き、話しかけた。

「お主は、かぐや姫が帝と結婚せず、不死の薬をもらったが、山に捨てたと言うところまでは知ってるか?」

そう言って、僕に聞いてきた。

僕は、「はい。」と答えた。


答えると、彼女は

「そうじゃろな。今は義務教育で竹取り物語は取り扱うよう言われておるようじゃから。」

そう言うとまた話を続けた。

「けど、習ってる内容は間違いじゃ。ちなみにここからの話は、教科書にも、竹取り物語の本にも載っておらぬ内容じゃ。」

僕は疑問に思った。

『書かれていない内容?そんなのが、あの話の後に存在するのか。』

「けど、なんで、そんなことを君が?」僕は聞いた。


「妾が、そのかぐや姫だからといったらお主はどうする?」