悲恋哀歌-熱恋-



朝だ。
彼女は、もう行ってしまっただろうか。
いつの間に眠っていたんだろう。
せめて、見送ってあげたかった。
彼女の家の前、そこで僕は目覚めた。
昨夜、追い出されてしまったけど、やっぱり心配だっため、ここで一晩を過ごした。
「はぁ、君はいつも、自分勝手だな...」
頭を掻き、せめて彼女の帰りを待とうと家の戸に手を掛ける。
あれ、おかしいな。
扉を開くことができない。
鍵、か。
珍しいこともあるもんだ。
彼女はちゃんと戸締りをしていったんだな。
なら、庭から回り込もうか。
そう思い、庭に回り込むも、客間の縁側は雨戸に閉ざされ、そこもしっかりと鍵が掛かっていた。
ははっ、はは...
「...君は、本当にここへ帰ってこないつもりなのかい...?」
なんだか、笑いが止まらないよ。
笑いたくもないのに、口から笑いが.......
何故、こんなときに涙が出ないんだ。
どうでもいいときに流れる涙は、本当に都合のいいもので。
村に注ぐ朝日は、とても憎らしいものだった。