私は珍しく、夢を見た。
その日はよほど疲れていたのか、それともあの山にのぼったせいか。
とても懐かしい記憶の中に私はいた。
私がまだ幼くて、辻とも出会っていなかった頃。
あの頃はよく、お母様と共に村外へ遊びに行っていた。
当時は、妖魔も猛獣も少なく、村外もそんなに危なくなかったのだ。
お母様も、良く笑う人で、お母様の笑顔はとても綺麗で可愛かったのを覚えてる。
今目の前に見えるのは、滝酒山を散歩する私とお母様の姿。
手を繋ぎ、離さないようにと強く握りしめる、私の小さな手。
この道は、今日は歩かなかった道。
酔龍の滝が流れる、緩やかな山道。
そうか、あの時私...
「お母様、あの滝はなに?」
「あれは、酔龍の滝って言ってね、昔、悪いことをした龍が、あそこに沈められたってお話があるのよ」
「へー!龍って、でかいのかなぁ?やっぱり、でかくてでかくて!すっごいでかいのかな!」
「そうね。きっとでかいわ。お母さんも見たことないけどね」
楽しそうに笑う、母と私。
この日、この滝の前で私は...
「じゃあさじゃあさ!この滝には入れば、龍に会えるかも!」
「駄目よ!」
急に叫ぶ母の声に、一瞬ビクッと肩を震わせる幼い私。
「大きな声出してごめんね。でも、あそこはほんとに危ないから駄目。ほんとに龍が出てきたら、貴方も食べられちゃうわよ?」
「えー...、やだ。食べられたくないよー...!」
お母様のそんな冗談を聞いて、不安そうな顔で母に抱きつく私。
私も、昔はこんな風に甘えていたんだな。
今じゃ、想像もつかない。
「でもさ...、ほんとに龍がこの滝にいるなら、可哀想だね...」
「え?」
「だって、××××××は辛いもん...」
その日はよほど疲れていたのか、それともあの山にのぼったせいか。
とても懐かしい記憶の中に私はいた。
私がまだ幼くて、辻とも出会っていなかった頃。
あの頃はよく、お母様と共に村外へ遊びに行っていた。
当時は、妖魔も猛獣も少なく、村外もそんなに危なくなかったのだ。
お母様も、良く笑う人で、お母様の笑顔はとても綺麗で可愛かったのを覚えてる。
今目の前に見えるのは、滝酒山を散歩する私とお母様の姿。
手を繋ぎ、離さないようにと強く握りしめる、私の小さな手。
この道は、今日は歩かなかった道。
酔龍の滝が流れる、緩やかな山道。
そうか、あの時私...
「お母様、あの滝はなに?」
「あれは、酔龍の滝って言ってね、昔、悪いことをした龍が、あそこに沈められたってお話があるのよ」
「へー!龍って、でかいのかなぁ?やっぱり、でかくてでかくて!すっごいでかいのかな!」
「そうね。きっとでかいわ。お母さんも見たことないけどね」
楽しそうに笑う、母と私。
この日、この滝の前で私は...
「じゃあさじゃあさ!この滝には入れば、龍に会えるかも!」
「駄目よ!」
急に叫ぶ母の声に、一瞬ビクッと肩を震わせる幼い私。
「大きな声出してごめんね。でも、あそこはほんとに危ないから駄目。ほんとに龍が出てきたら、貴方も食べられちゃうわよ?」
「えー...、やだ。食べられたくないよー...!」
お母様のそんな冗談を聞いて、不安そうな顔で母に抱きつく私。
私も、昔はこんな風に甘えていたんだな。
今じゃ、想像もつかない。
「でもさ...、ほんとに龍がこの滝にいるなら、可哀想だね...」
「え?」
「だって、××××××は辛いもん...」
