窓際の席に向かい合わせで腰かけると、あたしはアイスミルクティーを、京花はオレンジジュースを頼んだ。「コーヒーとか紅茶って苦手なんだぁ……」と苦笑する京花が、何だか可愛いなと思った。



「聞いてよ京花!さっき雑貨屋さん行ってきたらね、これ、勧められちゃって。勢いに勝てなくて買っちゃったんだよね……」

「……え?凄く可愛いのに!ピンクだからって毛嫌いせずに付けてみれば?きっと似合うよ!」



 ニコニコと笑う京花を、ジトーッと見つめる。京花はあたしの視線に気付くと、声をひそめて言った。



「……私ね、ずっと思ってたんだ。真子ってそういう淡いピンクが似合うんじゃないかって。今日の黒いワンピだって凄く可愛いけどね。」

「で、でも……京花もあの時聞いたでしょ?エイジ君がみんなの前で……」

「私は、あれは照れ隠しだったんじゃないかなぁって思うよ。だって、女子はみんな可愛いって言ってたもん!」



 男子はエイジ君の一言をきっかけにからかい出したし、エイジ君も本心じゃなかった筈……と語る京花。本当にそうなら良いけどね。あたしは、京花みたいには微塵も思えなかった。考えることは一つ。あの頃から決まってるんだから。