「対照的、かぁ……そう言われちゃうと、ちょっと悲しいな!」



 悲しい、と言いながらも笑っている竹田が、少しだけ憎らしかった。だって、本当のことじゃない。あんたは明るくてクラスのムードメーカー的存在で、あたしは教室の隅で、クラスの馬鹿騒ぎを頬杖ついて見ているような奴。

 好きな色も真逆だし……あたしは全然可愛くない。いつだったか、漫画だったら背後に花でも飛んでいそうに可愛い野球部のマネージャーを羨ましく思ったこともあった。



「ま、とりあえず急ごうぜ!早く行かないと人増えるし。」

「……そうだね。」



 短く答えると、あたし達は、並んで歩く速度を早める。チラリと斜め上を見上げると、竹田が差している透明のビニール傘から、雫がゆっくりと流れ落ちていった。

 やっと玄関に到着して、傘を畳んで傘立てに預ける。靴を上履きに履き替えようとした、その時。不意に、竹田が呟いた。



「……青って良いよな、涼しくて。」

「え?」

「たまに見ると、スゲー落ち着くもん!」



 その笑顔に、この心臓は、彼の言葉と真逆の反応を示した。朝からドキドキさせないでよ……なんて言える筈もなく、あたし達は、仲良く教室までの道のりを歩いていった。