「ふーん……やっぱクールだな、お前!俺なんて私服は原色が多いぜ?」

「うん、そんな感じだね。オレンジとか赤とか……」

「スゲー!何で分かった!?俺、その二色が好きなんだよなぁ!特に赤!!」

「へー……何かあたしと対照的だね。」



 赤……か。苦手なんだよね、そういうパワー全開、みたいな色。付け足せば、それに白を混ぜてできるピンクも苦手。淡い色ならまだしも、ショッキングピンクなんて絶対に身に付けたくない色だ。

 ──だって、あたしには似合わないし。小5の時に好きだったエイジ君に、「そんなキャラじゃねーだろ!」って大笑いされたくらいだし。

 友達が「イメチェンしてみなよ!」と誕生日にくれた、可愛いピンクのリボン付きのゴムで髪を結んだだけ。ちょっとでも可愛いと思われたかっただけなのに……ガラスのハートが粉々に打ち砕かれたんだよね。

 あれ以来、そのプレゼントは大切に引き出しの中にしまったまま。誰かに誉めてもらう機会もなく、ずっと眠っているのだ。

 あたしは青が好き。無理してピンクを好きになる必要はない。そう自分に言い聞かせて、はや数年。エイジ君の言葉がきっかけだったのか、あたしはすっかり可愛げのない女になってしまった。