しばらく無言で見つめ合っていたけど、どちらからともなく目を逸らした。その格好のまま、竹田が呟く。



「……仁科は、青が一番似合ってるから。青、身に付けてて欲しい。」

「……ありがとう。で、他に何か言うことないの?さっきから、耳が真っ赤なんですけど。」



 気付いてしまった、奴の小さな変化。自分から言うのは照れ臭いから相手に言わせようだなんて、あたしも腹黒いなと内心笑った。マジかよ……と呟いて、視線を合わせてくれる竹田。この瞬間を、あたしはずっと待っていたのかもしれない。



「……俺、仁科のこと好きだ。女の子はみんなピンクが好きだって、誰が決めたんだよ?お前はさ、今みたいに“青”のまま笑ってくれたら良いから。」



 嬉しくて、また涙が出た。青で良いって言ってくれた人は、多分初めて。自分も同じ気持ちだと告げると、竹田はとても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。



「ちなみに俺の誕生日はー……」

「7月14日、でしょ?京花と同じなんだよね。羨ましい!」

「……どっちに対しての“羨ましい”?」

「さぁ、ご想像にお任せします!」



 思わずこぼした笑顔。優しい笑みが、そっと返ってきた。