頭が、ついていかない。時間差で、何かを渡されようとしていると理解する。そうして、やっと言葉が思い浮かんだ。



「……これ、何?」

「開けてみてのお楽しみ?」

「何で疑問系なのよ……」



 ブツブツ言いながら、白いその包みを開ける。中身は、何か柔らかいものらしい。手に取ってみて、絶句した。どうしてこいつは、こんなものをあたしにくれるのか。

 ――御召茶色、っていうのかな。濃い緑と青が混ざった色をベースにした白い水玉模様のシュシュが、そこには入っていた。ポカンとして奴の顔を見つめると、頭をかきながら更に付け足した。



「俺、緑も好きだから、その色スゲー気に入ってさ。青みがかってるなーって思ったら、お前の顔が浮かんだから。
誕生日、4月10日だったんだろ?大分遅れたけど、もらってやってくれない?」



 堪えていたものが、溢れそうになった。いや、溢れていた。誕生日、知っててくれたなんて……その喜びは、計り知れないものだ。



「……何で泣くの。ここは笑顔で『ありがとう!』ってとこだろ?」



 クスクス笑う竹田に、小声で「ありがと……」と告げる。笑顔は出せなかったけど、奴は小さく笑ってくれた。