「あんた、あたしに謝るためだけにサボったの?」

「サボりじゃねぇよ。正当な理由だろ。」



 その言葉を、不覚にも嬉しがっている自分が居る。こいつは、こういう奴なんだ。突然逃げてしまったから、こいつを傷付けてしまったに違いない。あたしも謝ろう。もしかしたら、みんなに責められて悩んだかもしれないし。

 着替えたら家に通すと言ったら、外で構わないと返された。身支度をして玄関を出ると、出入り口のドアにもたれて待つ。間もなく、見慣れている顔に見慣れない私服姿の竹田が現れた。



「わ、ほんとに原色だ……」

「だからそうだって言ったじゃん。」



 赤の英字プリントTシャツにジーンズというラフな格好は、スポーツマンの彼によく似合っていた。対するあたしは、紺地に白く細長いリボンの付いたチュニックに白のカプリパンツ。素晴らしく反発している色合いだ。他人が見たら、きっと目がチカチカするんだろう。



「……何で黙るのよ。」

「いや……やっぱ私服も青系なんだなぁと思って。」

「ふーん……」



 会話がまるで続かない。9割方は、可愛くないあたしの返答のせいだ。見るからに焦った竹田が、慌てて口を開いた。