ベッドに寝転んで、考えを巡らせてみる。確かに、あたしは可愛くなりたい。周りの女の子達に劣等感を抱いたり嫉妬したりする自分も、もう沢山だ。

 ピンクを身に付けて変われるのなら、あいつに可愛いと思われるのなら、一歩踏み出してみよう。それは簡単なことじゃないけど、未来を思い描いてみれば、力が湧いてくる。



「……勝負は明日、かな。」



 先伸ばしにしていたら、結局機会を逃してしまうだろう。起き上がって、鞄の中からふわふわとした優しいピンク色のシュシュを取り出す。ジッと見つめてみるそれは、やっぱりあたしには不釣り合いなものに思えた。

 でも、あたしは変わりたいんだ。堅い殻を破って、羽ばたいてみたい。“クール”は好きだけど、それだけじゃ物足りないんだよね。

 いつだったか、誰かが「貪欲な人は変われる」というようなことを言っていた気がする。なら、あたしは変わってやるんだ。作り笑顔の毎日にさよならしたいから。



「……頑張りますか!」



 誰に言うでもなく口にして、大きく伸びをする。手の上のシュシュが、何だかキラキラと輝いて見えた。

 ──全ては明日、決まる。