七色の空

チャプター4
「恋と愛」

福生の姿を見かねた林檎は立ち上がり福生の元へ。福生に差し出された林檎の華奢な腕は美しい。
福生「僕、足が不自由で岸までお手伝いしてもらえますか?」
林檎は一瞬躊躇するが福生の腕をとり、上半身を支えてやりながら福生が岸にたどり着くまで補助してやる。
この頃、二人のいるところとは全く別の場所で交された会話がある。とある繁華街、イケメンホストに入れ込んで、湯水のごとく金をつかい夜通し遊んでいた頭のちょっと弱めな少女が、駅までお気に入りホストに送りをしてもらっている折、
少女「翔くんにとって恋と愛の違いって何?」
ホスト翔「んなこと、考えたこともないよ」
少女「簡単だよ!その人の為なら死ねるのが愛で死ねないのが恋」
それを聞いたホストは小さく微笑む。
ホスト翔「いまからゆっくり休んで夜から仕事頑張って。本日もお待ちしております」
少女「そだね、翔くんの顔見たいしな(笑)」
もぉすっかり明るくなった空を見上げ林檎は突然笑い始める。二人は草の上に大の字に寝転び、さっきまでの出来事の余韻に浸っているのだ。笑う林檎を横目で見て、福生は安堵し、目を深く閉じる。その時、瞳から一粒の滴が盛れる。福生は今頃になって恐くなった。車椅子を転がしすぎていびつに変形した福生のゴツゴツとした指が少し嬉しそうに震えている。
もうすぐ街が騒がしくなる、今日もまた少女は仕事の後、お気に入りのホストに会いにゆく。