チャプター16
「愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよ」
その日の午後、福生は病院の診察室にいた。
よく晴れた日で、診察室には弱めの冷房がかかっている。きっと今頃、甲子園では高校球児達が爽やかな汗をかいているのだろう。福生もあんな風に汗をかいてみたかった。足が動けば、思いのままに駆け回れたら…
主治医の藤原 淳がカルテを書いている。診察はすでに終わっているよいだ。淳「ついに撮影がクランクインするのかぁ…脚本のなおしよく頑張ったね、何稿ぐらいかいたの?」
福生「だいたい6つ8つぐらいですかね」
淳「たいへんだったろぉね」
福生「自分で全部かかせてもらえただけ幸せです。だれの筆入れもない完全オリジナルですから」 淳は嬉しそうに笑う。医者と脚本家志望の障害者。二人は友達である。歳は二まわり近くはなれている。福生は酒がのめなかったが、淳が呑むのに付き合うことも、たまにあった。
淳「最近、何だか楽しそうだね、こないだの診察の時も、そういえばそんな事を感じたんだよ、君をみて。脚本以外で何か内緒にしてることがあるんじゃないかと思ってね」
福生「別に隠してた訳じゃないんですが、ちょっと気になる娘がいまして」
淳「お付き合いをかんがえてる?」
福生「そぉなれば幸せですね」
淳「それは素敵なことだね」
しばらく二人は黙ったまま、部屋の窓から見える空を眺める。
淳「ありきたりなセリフになるけど…恋をすればつらくなるなぁ」
福生「そうですね(笑)」 診察室には弱めの冷房がかかっている。冷房の音が充満する部屋。
二人はまた、しばらくの間、沈黙する…
「愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよ」
その日の午後、福生は病院の診察室にいた。
よく晴れた日で、診察室には弱めの冷房がかかっている。きっと今頃、甲子園では高校球児達が爽やかな汗をかいているのだろう。福生もあんな風に汗をかいてみたかった。足が動けば、思いのままに駆け回れたら…
主治医の藤原 淳がカルテを書いている。診察はすでに終わっているよいだ。淳「ついに撮影がクランクインするのかぁ…脚本のなおしよく頑張ったね、何稿ぐらいかいたの?」
福生「だいたい6つ8つぐらいですかね」
淳「たいへんだったろぉね」
福生「自分で全部かかせてもらえただけ幸せです。だれの筆入れもない完全オリジナルですから」 淳は嬉しそうに笑う。医者と脚本家志望の障害者。二人は友達である。歳は二まわり近くはなれている。福生は酒がのめなかったが、淳が呑むのに付き合うことも、たまにあった。
淳「最近、何だか楽しそうだね、こないだの診察の時も、そういえばそんな事を感じたんだよ、君をみて。脚本以外で何か内緒にしてることがあるんじゃないかと思ってね」
福生「別に隠してた訳じゃないんですが、ちょっと気になる娘がいまして」
淳「お付き合いをかんがえてる?」
福生「そぉなれば幸せですね」
淳「それは素敵なことだね」
しばらく二人は黙ったまま、部屋の窓から見える空を眺める。
淳「ありきたりなセリフになるけど…恋をすればつらくなるなぁ」
福生「そうですね(笑)」 診察室には弱めの冷房がかかっている。冷房の音が充満する部屋。
二人はまた、しばらくの間、沈黙する…
