チャプター15
「見上げてごらん」
オナニーのできる人間にオナニーのできない人間の気持ちは分からない。
想像してごらん、みんなが幸せに暮らす世の中を。想像してごらん、戦争のない世の中を。想像してごらん、オナニーできない切なさを。
見上げてごらん、夜の星を。見上げてごらん、しごいた腕を。あなたの腕には白濁の液がかかり、今日も何億とい兵士が報われずに果てていく、あなたの快感と引き換えに。
福生は下半身の機能を奪われて産まれてきた。性欲をつかさどるのは下半身ではなく、脳であり心である。しかし、性欲を解消するには下半身が必要である。 そもそも人間の体は一つの細胞からできている。その細胞が目となり、臓器となり、適切に変化することにより、私たちが一般的に人間と解釈している物体をつくりあげている。
そこで福生は、いつもやっているように全身が性器と化す様、瞑想に入った。全身が性器と化せば、あとはそこへ林檎にしごかれるイメージを重ねるだけだ。全身が痙攣し、身体中の毛穴から、いったい何なんだ!?何かが何かが出てる!
と、その時玄関の戸が開いた。居間の戸を閉めていなかったものだから、全身性器は林檎の前でさらしものにされた。こんな恥ずかしいことはない。
林檎「どしたの福生!発作起こしたの!?」
慌てて林檎は福生に駆け寄り抱き寄せる。
少し白眼を向いたまま、全身の痙攣がまだおさまらない状況下で福生は言った。「大丈夫。扉空いてた?」
林檎「あ、ゆ〜の忘れてた」
福生「何を?」
林檎「福生に黙って合鍵つくった」
福生「・・・」
林檎「まずかった?」
福生「それは言っとこ」 二人は自分勝手に、しかし迷惑をかけることなく互いの距離を縮めてゆく。この頃から、林檎は福生の仕事を手伝い始める。
二人が見上げる夜の星。またたく星が、今日はあんなに良く見える。
遠くのお星様からすれば、二人の距離は何て近いのだろう。
「見上げてごらん」
オナニーのできる人間にオナニーのできない人間の気持ちは分からない。
想像してごらん、みんなが幸せに暮らす世の中を。想像してごらん、戦争のない世の中を。想像してごらん、オナニーできない切なさを。
見上げてごらん、夜の星を。見上げてごらん、しごいた腕を。あなたの腕には白濁の液がかかり、今日も何億とい兵士が報われずに果てていく、あなたの快感と引き換えに。
福生は下半身の機能を奪われて産まれてきた。性欲をつかさどるのは下半身ではなく、脳であり心である。しかし、性欲を解消するには下半身が必要である。 そもそも人間の体は一つの細胞からできている。その細胞が目となり、臓器となり、適切に変化することにより、私たちが一般的に人間と解釈している物体をつくりあげている。
そこで福生は、いつもやっているように全身が性器と化す様、瞑想に入った。全身が性器と化せば、あとはそこへ林檎にしごかれるイメージを重ねるだけだ。全身が痙攣し、身体中の毛穴から、いったい何なんだ!?何かが何かが出てる!
と、その時玄関の戸が開いた。居間の戸を閉めていなかったものだから、全身性器は林檎の前でさらしものにされた。こんな恥ずかしいことはない。
林檎「どしたの福生!発作起こしたの!?」
慌てて林檎は福生に駆け寄り抱き寄せる。
少し白眼を向いたまま、全身の痙攣がまだおさまらない状況下で福生は言った。「大丈夫。扉空いてた?」
林檎「あ、ゆ〜の忘れてた」
福生「何を?」
林檎「福生に黙って合鍵つくった」
福生「・・・」
林檎「まずかった?」
福生「それは言っとこ」 二人は自分勝手に、しかし迷惑をかけることなく互いの距離を縮めてゆく。この頃から、林檎は福生の仕事を手伝い始める。
二人が見上げる夜の星。またたく星が、今日はあんなに良く見える。
遠くのお星様からすれば、二人の距離は何て近いのだろう。
