チャプター14
「プライスレス」
福生はシナリオコンクール大賞受賞で800万の賞金を手にした。突如舞い込んだ金は福生にとって大金だ。しかし使い道がない。
今日は林檎に連れられて街に出て来た訳であるが、財布には一応、30万入っている。林檎に、はぶらかされた訳ではなく、自主的に持ってきた。
福生はなんとなく、今日林檎が欲しがるものを何でも買ってやりたいと思っていたのである。二人は街にでて、たくさんの人達と同じ様に振る舞うつもりでいた。福生は林檎を連れて街を歩けるのなら、普段否定していた世の中の風景も肯定できる。福生がしたかったこと、林檎が望んでいるもの。この無器用な二人は、少しだけ寄り添いながら、明日や未来のことを好きになろうとしていた。
福生は、自分が林檎にふさわしい男ではないと、劣等感を感じている。そんな福生の気持ちなど、全く見当もつかない林檎だったからこそ、福生は障害のことや不細工な自分の顔を他人事に感じられた。
二人は結局、賑やかな街の喧騒から離れ、知らない駅の知らない路地裏で素敵な古着屋を見つける。福生が林檎をコーディネートし、林檎が福生をコーディネートする。スピード写真のBOXの中で二人一緒に撮った写真は、肝心の洋服が充分に写ってはいなかったが、二人の笑顔には神様も嫉妬する。
古着代\32800。交通費\1680。食事代\2680。写真撮影\700。二人の時間\Priceless。
「プライスレス」
福生はシナリオコンクール大賞受賞で800万の賞金を手にした。突如舞い込んだ金は福生にとって大金だ。しかし使い道がない。
今日は林檎に連れられて街に出て来た訳であるが、財布には一応、30万入っている。林檎に、はぶらかされた訳ではなく、自主的に持ってきた。
福生はなんとなく、今日林檎が欲しがるものを何でも買ってやりたいと思っていたのである。二人は街にでて、たくさんの人達と同じ様に振る舞うつもりでいた。福生は林檎を連れて街を歩けるのなら、普段否定していた世の中の風景も肯定できる。福生がしたかったこと、林檎が望んでいるもの。この無器用な二人は、少しだけ寄り添いながら、明日や未来のことを好きになろうとしていた。
福生は、自分が林檎にふさわしい男ではないと、劣等感を感じている。そんな福生の気持ちなど、全く見当もつかない林檎だったからこそ、福生は障害のことや不細工な自分の顔を他人事に感じられた。
二人は結局、賑やかな街の喧騒から離れ、知らない駅の知らない路地裏で素敵な古着屋を見つける。福生が林檎をコーディネートし、林檎が福生をコーディネートする。スピード写真のBOXの中で二人一緒に撮った写真は、肝心の洋服が充分に写ってはいなかったが、二人の笑顔には神様も嫉妬する。
古着代\32800。交通費\1680。食事代\2680。写真撮影\700。二人の時間\Priceless。
