チャプター9つづき2
あの日から数日が経過した。こう書けば数日が物語の中では経過したことになる。何と便利で安易なのか…。人間が一日を乗り越えるのは過酷だ。 魔法のコトバですっとばしたこの数日間は、福生にとっても過酷な日々だった。林檎とはあの日以降、何もないからである。林檎は福生に、唯一の繋がりである携帯アドレスを残したが、新しい携帯をまだ買っていないのか?福生はメェールを送ったものの林檎からの返事はない。
人は失恋した時、どおやって乗り越えるのか?それは人それぞれだろうが、所詮は時間が感傷を和らげ消し去っているだけのこと、癒えない心の傷など在りはしない。これが福生の持論である。
幼い頃、孤児院で福生が園長に叱られたことがある。「体の傷はいつか癒えるけど、心の傷は一生ものになることがあるんだよ。ハエの羽をもぎ取り、スザンヌにくっつけて、ウンコだなんて言ってはいけません」
福生は「うわぁこのヒト面倒くせぇ」と心で呟いた。けど今なら、きっとハエには謝れる。
今も変わらぬその意志で、福生はペンを走らせる。だって自分の脚本が映画化されることが決まっているんだもん。あの夜の、田口トモロヲのオールナイト上映は、昨年応募したシナリオコンクール応募脚本が大賞を受賞することが決まった自分へのご褒美だったのだ。受賞の夜、下北の劇場にトモロヲさんがやって来る。行きますよ、行きますとも!大好きなペッパーライスを食べてから劇場入りした。
鳴らない携帯を待つよりも、自分が夢に近付くように、心をしめつけるキュンとなるそれを押し殺す、押し殺す。所詮、乳児期に捨てられたとはいえ、人の子である。野良猫のようには生きれない。野良猫に敗北感を抱いた福生は高級寿司の出前をてり、近所の野良猫に献上する。次の朝、寿司の空箱を回収しに行くと、寿司がまんま残っている。
福生「あ!サビ抜き忘れた」
その時、猫がニャと呟いた。通訳しよう「つかえねぇ」である。
福生はコンクール受賞で獲た大金をもって明日は外に出掛けることにする。
あの日から数日が経過した。こう書けば数日が物語の中では経過したことになる。何と便利で安易なのか…。人間が一日を乗り越えるのは過酷だ。 魔法のコトバですっとばしたこの数日間は、福生にとっても過酷な日々だった。林檎とはあの日以降、何もないからである。林檎は福生に、唯一の繋がりである携帯アドレスを残したが、新しい携帯をまだ買っていないのか?福生はメェールを送ったものの林檎からの返事はない。
人は失恋した時、どおやって乗り越えるのか?それは人それぞれだろうが、所詮は時間が感傷を和らげ消し去っているだけのこと、癒えない心の傷など在りはしない。これが福生の持論である。
幼い頃、孤児院で福生が園長に叱られたことがある。「体の傷はいつか癒えるけど、心の傷は一生ものになることがあるんだよ。ハエの羽をもぎ取り、スザンヌにくっつけて、ウンコだなんて言ってはいけません」
福生は「うわぁこのヒト面倒くせぇ」と心で呟いた。けど今なら、きっとハエには謝れる。
今も変わらぬその意志で、福生はペンを走らせる。だって自分の脚本が映画化されることが決まっているんだもん。あの夜の、田口トモロヲのオールナイト上映は、昨年応募したシナリオコンクール応募脚本が大賞を受賞することが決まった自分へのご褒美だったのだ。受賞の夜、下北の劇場にトモロヲさんがやって来る。行きますよ、行きますとも!大好きなペッパーライスを食べてから劇場入りした。
鳴らない携帯を待つよりも、自分が夢に近付くように、心をしめつけるキュンとなるそれを押し殺す、押し殺す。所詮、乳児期に捨てられたとはいえ、人の子である。野良猫のようには生きれない。野良猫に敗北感を抱いた福生は高級寿司の出前をてり、近所の野良猫に献上する。次の朝、寿司の空箱を回収しに行くと、寿司がまんま残っている。
福生「あ!サビ抜き忘れた」
その時、猫がニャと呟いた。通訳しよう「つかえねぇ」である。
福生はコンクール受賞で獲た大金をもって明日は外に出掛けることにする。
