「翔湊くんが転校とかなんとか
聞こえたけど...なんか用だった?」

まさか本人がいるだなんて......
どうしよぅ...なんて言おう...

「い、いえッッ!!おじゃましました!!」

ガチャッバタンッ バタバタ...

あぁ〜...焦って逃げてしまった...
せっかく話すチャンスだったのに...

ガラッ

「あっ!菜夜花おかえり~」

「っ、桜結〜!助けて~!」

「ちょっと、どうしたの〜?」

「穴があったら入りたい~!
あのね、さっき屋上に行ったら...」

キーンコーンカーンコーン

「あ、チャイム鳴っちゃったね...
じゃあまたお昼休みにきくよ。」

「...うん。分かった......」
――――――――――――――――――――
キーンコーンカーンコーン

やった!お昼休みだ〜!やっと相談できる!!
......と、思ったら、

「ごめん!菜夜花!私、委員長だから今日
集まらないといけなくて......ごめん!
じゃあ、また後でね!」

これだもんなぁ~。
私、今日はつくづくツイてないな...。
......アハハ
まぁ、今日は天気いいし、 気分転換に裏庭でお弁当食べようかな♪

「ルンルルーン♪」

鼻歌を歌いながら裏庭に行くと、
なんと、そこでは......

「翔湊くん、ずっと前から好きでした!
付き合ってくれませんか?」

翔湊くんが告白されていた.........
うん。やっぱりモテるよね...ふつー...。
翔湊くんかっこいいし...
よし。やっぱり裏庭でお弁当食べるのは
やめよう。
「おじゃましました.........」
私は静かにつぶやいて、その場を立ち去った。
――――――――――――――――――――――

食欲がわかなかったから、私はそのまま教室に戻った。

「菜夜花!おかえり!ゴメンね!
お昼ご飯。...あれ?まだ食べてないの?」

「...うん。何だか食欲わかなくて...」

「そうなんだ...。あっ!そういえば相談した い事って何だったの?」

「あぁ。あれはもう大丈夫だよ。
気にしないで〜...」

「そう?分かった~」

...ホントは何も解決してないんだけどね...。
でも、今は何故か話す気になれない。

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そして、そのまま特になにも進歩せずに
翔湊くんが転校する日は近づいた。

「菜夜花!」

桜結がなにやら色紙を持っている。

「何?それ?」

「これ、翔湊くんに記念として渡すやつ。
皆に寄せ書きしてもらってるから、
菜夜花も書いて〜 」

「...うん。分かったー」

何を書くか迷ったけど、私はこう書いた。

《また会えるといいね! 菜夜花》