「祐介!おーきーて!祐介ってばー!」

まだ少し冬の寒さが残るある春の朝
微睡みの中で愛しい声が聞こえる

「おばさん怒ってるよ!」

「……ん…雪菜うるさい」


俺は布団に隠れ、まだ眠たいふりをする
そうすればこいつは俺の上に乗って起こしに来るんだ

「もー!いつまで寝てるの!入学式早々遅刻してもいいの!?ほら!起きてよー!」

案の定、雪菜は俺の上に乗り布団を剥ごうとしてくる

「分かった分かった……起きるから退けよ」

本当は退いてほしくない
布団の中に引きずり込んでその温もりを独り占めしたい

「やっと起きる気になったね」

「お前が重いから目が覚めたんだよ」

あぁ、また心にも無いことを言ってしまう

「もう!女の子にそんな事言っちゃだめ!いくら幼馴染みでも言っていいことと悪いことぐらいあるでしょ!?そんなんだから祐介はモテないんだよ」


「うるせーな……着替えっから部屋出ろよ
すぐ降りるから」

……正直襲いたい

「早くしてね?ほんとに入学式にまにあわないよ」

「わかってる」

俺がそう返事をすると雪菜は部屋を出た