いいじゃん、俺の彼女になれば。

ぼんやりしてしまって、返事ができない。



そんなあたしのことを、どう思ったのか……。



「んじゃ、出血大サービス!
りーちゃんって呼ばせてあげるよ。
特別に!」



ゆるふわ王子は、あたしの前に、ズイっと両手を差し出した。



これでもう勘弁して! とでもいうように。



それを見て……。



「あの、あたし……。
南くんのこと、“琉玖”って呼ぶよ」



反射的にそう答えていた。



だって、特別なんて困るもん。