いいじゃん、俺の彼女になれば。

口には出さず、そんなことを思っていると……。



「あー、ごめん」



アメを口にくわえたまま、南くんは、顔の前で、両手を合わせた。



「俺、もう行かなきゃ」



「……え?」



――どこに?



「今から俺たちのステージがあるじゃんっ」



ゆるふわ王子は、ギャーギャーうるさい屋外ステージのほうを指でさす。



「ほら。
俺たちのバンド、文化祭の目玉だし~」