こんな強引な告白は初めてだけど、イヤな気持ちがしない。

やっぱり不思議な人……。

いつの間にか、彼の胸に顔を埋めていた私は、誰もいないふたりきりのオフィスで、すっかり安心しきっていた。

「温かいのね……。こんな温もり、今まで感じたことがないかも」

「温もりなら、いつだってやるよ。梓がオレを大事にしてくれる限り、この温かさは失われないから」

そうなんだ……。

彼にも、私の大事にしている想いが伝わっているのなら嬉しい。

だって、たったひとつの指サックだもの。

代わりを買わなくてよかったと、今思ってしまった。

「なあ、梓。無理しない程度に、たまには残業してくれるか?」

「えっ? どうして?」

仕事のし過ぎを心配してくれていたはずなのに、意外な言葉にきょとんとした。

その弾みで、また彼の体を押し返している。

「だって、そうすれば、こうやって梓とゆっくり会えるだろ?」

目を細めて微笑む彼に、私の胸はキュンと締め付けられた。